「教科書の役割について」

 今日の文科省メルマガより。


【コラム】「教科書の役割について」
〔初等中等教育局教科書課長 森友 浩史〕

<はじめに>
 教科書課の森友と申します。昨年は、このメルマガで障害のある児童生徒のための音声教材について、ご紹介させていただきました。
2020年4月からの新学習指導要領の全面実施に対応して教科書も新しくなり、また、2019年4月から学習者用デジタル教科書に係る制度もスタートした中で、今回は、教科書の果たす役割についてお話したいと思います。

<教科書が公教育に果たしてきた役割>
 教科書は学校の教育活動における主たる教材と位置付けられており、子供たちの教育に非常に大きな役割を果たしています。レイアウトや記述内容の工夫など、教科書発行者の様々なご努力によって、各学年で学習する内容がとても分かりやすくまとまっています。
 さらに、全国津々浦々の学校に4月の新年度に合わせて確実に教科書を届ける完全供給の実施は、日本の公教育を支える基盤の一つとなっています。特に去年は日本各地で非常に大きな自然災害に見舞われましたが、関係者のご尽力によって、被災して教科書がなくなってしまった児童生徒に対して、速やかに教科書が供給されました。学校の再開には、教科書は欠かせない存在です。
 また、文科省では教科書バリアフリー法に基づき、教科書発行者からの教科書データの提供とボランティア団体の協力を得て、教科用特定図書等として、拡大教科書、点字教科書、音声教材などの普及に取り組んでいます。
 昨年もご紹介したとおり、このうち音声教材は、発達障害などにより、教科書で文字を追うことが難しい子供に対し、パソコンやタブレット端末等を利用して音声による読み上げをするもので、年々利用実績は増えているものの、まだ全国的な認知は低い状況にあります。利用者からは効果があったという声も届いています。もし発達障害などで教科書を読むことにストレスを感じている子供がいれば試してみていただきたいと思います。
詳しくは文部科学省のウェブページをご参照ください。
http://mailmaga.mext.go.jp/c/aeyqaaeRxW143FbK

<これからの教育における教科書の役割>
 現在、小学校の新学習指導要領の実施に合わせて、新しい教科書の検定が行われたところであり、特に小学校では、外国語が新しい教科として位置付けられ、検定教科書も発行されます。
 新学習指導要領に基づいた新しい教科書では、新学習指導要領における主体的・対話的で深い学びを実現する上での工夫などが施されており、教科書は一層重要な役割を果たすようになると考えています。
 また、デジタル教科書をどう位置付けていくかという議論もあり、今年4月から、改正学校教育法をはじめとする関連法令が施行され、学習者用デジタル教科書が学校現場で紙の教科書と併用できるようになりました。制度としてデジタル教科書も使えるという中で、教科書の可能性がより一層広がります。学校現場でデジタル教科書の活用を図るためには、ICT環境の整備が必要であり、そのための取組が重要です。
 一方で、紙の教科書も大切な教材として位置付けられていることに変わりはありません。
また、デジタル教科書の効果的な活用を広げていくためには、どうすれば子供たちの興味関心を引きながら授業を展開できるのかについてより多くの教師に知っていただくことが重要です。
 文部科学省としても、昨年末に「学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン」を作成し、全国の教育委員会に配布したのをはじめ、デジタル教科書の実践事例集を3月に公表しております。これらによって効果的な使い方を理解していただいた上で、各学校でデジタル教科書を活用していただき、そこで得られた効果をICT教育の推進などに役立てていただきたいと思います。文部科学省は今後、デジタル教科書の効果的な実証研究に取り組み、学力面や学習面、健康面でデジタル教科書の本格的な検証を進めた上で、今後の在り方を検討していきます。

<教科書無償措置の意義>
 教科書については、子供たちの学びがより充実したものになるよう、教科書会社でいろいろな工夫が施されています。実際に教科書を活用して教育をするのは全国の教師の方々でありますので、もとより教師の方々の果たす役割はとても大きく、文科省も教科書に関する施策を着実に進めてまいります。
 教科書が果たす役割の重要性に鑑み、日本では1962年に無償措置法が制定され、以来、60年近く義務教育における教科書の無償給与制度が続いています。教科書の無償は当たり前のように受け止められていますが、その財源は税金でまかなわれています。教科書がなぜ無償なのか、その意味を保護者や子供が改めて考える機会が大事なのではないかと思っています。新しい教科書を手に取った子供たちや保護者に対して、ぜひ教科書の役割や無償給与に込められた意味に触れる機会をつくっていただければとも思っています。

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